レッスンご希望の方へ
記事 2001年11月22日 (木) LE JOUNALコーン
サン・カンタン・シュール・ノーエン
水戸茂雄、黄金の手のリュート奏者
日本のソリストが、たった一回のコンサートのために、当郡に寄留。
小さな教会は満員だった。300人の住民の村で100人弱が集まったということになる。想像して
みてほしい。それはつまり、お高くみえるかもしれないコンサート、そしてリュートというあまり一 般的でない楽器をもってさえ、人々を集めるのが可能だ、ということなのだ。そして「教会は暖 房が入っています」という宣伝は別にしても、あの、寒く灰色の曇り空の日に、自分のうちを離 れたいと思わなければならなかったということだ。このコンサートを運営したのは、ドンジアス文 化連盟(ACD)。その委員長、ジョルジュ・ナンシーは、この聴衆に対して、彼に信用を置いてく れたことに謝意を表するとともに、ジェゴ神父に、教会を貸してくれたことを、そして村役場に、 業務担当を感謝することであろう。「ここは、コンサートをするふつうの場所からはちょっと離れ ているんですけど、この場所を選んだ最初の人であるジャゴ神父は、実にいい着想をしてくださ ったと思います。そして私たちも気分がよかったです」。開演ぎりぎりに運び込まれたストーブで 手を暖めてから、ソリストは、準備良し、開演できる、とつぶやいた。 コンサートは、すばらしい出来栄えで、彼は約束をすべて守ることになる。水戸茂雄は、彼の友
人セルジュ・レクレルクが日出づる国ではまれな彼の背の高さを仄めかしつつ「型破りな日本 人」(10月24日付本紙)と強調しているがごとく、リュートの魔術師である。この、13の二重弦が 張られた非常に美しい楽器、これは、水戸がコンサートの中で通訳を通して強調したように、フ ランスで製作されたものである。第一部で、ソリストの長い指は、非常に純粋な音色で、シルヴ ィウス・レオポルド・バイス、シャルル・ムトンという二人の17世紀の作曲家の作品-------サラ バンド、ガボット、メヌエット-------を奏でる。 第二部は、ション・セバスチャン・バッハのプレリュード、フーガ、アレグロが演奏される。今年、
バッハ・リュート作品集を出版し、1985年に、バッハ没後300年記念祭に積極的に参加した水 戸茂雄は、もちろん、これらの楽曲をよく心得ているわけだ。コンサートの最後、2回アンコー ルがあって、日本の伝統的音楽とイギリスの音楽を鑑賞できた。もともとクラシック・ギタリスト である水戸は、テオルボ、ヴィウエラ、バロック・ギターも研究した。この日本の音楽家は、その 感受性によって、聴く者を夢想の世界に誘う。このバロック音楽は、落ち着きたいとき、夢を見 たいとき、瞑想したいときにぴったりだ。まさに音楽は共通言語。欲を言えば、暖炉の火さえあ れば、もっとよかったのだが・・・・ ミシェル・トレロン記
日本語訳=福田 肇
|